月までの航路 [ちいさなおはなし]
図書室のすみで見つけた昔話の絵本。
「『かぐや姫』か~。よーし、今日はこのおはなしの中に遊びにいっちゃお!」
絵本の中に飛び込んだココアがはじめに降り立ったのは、薄暗い夜の竹林。
林の奥からは、まばゆい光が漏れています。
「わわ! もしかして、かぐや姫誕生の場面!?」
それからココアは、かぐや姫の成長をこっそり見守りながら、本の中の世界を満喫しました。
借り物の着物で都を散策したり、帝の住まいをのぞきに行ったり。
普段の生活とはかけ離れた文化の数々に、興味津々です。
やがて、物語はクライマックスへ。
使者とともに、故郷の月へと帰っていくかぐや姫。
その行列の一番うしろに控えていたお供の者をつかまえて、ココアは懇願します。
「ね、ちょっとあなた! あたしも月に連れてってくれない?」
困惑するお供の者をなだめすかして、月の舟に乗り込んだココア。
月への道程は思いのほか長く、うっかり口をつけたお酒に酔っぱらって爆睡してしまいました。
「お嬢さま、ご覧ください。月の都が見えて参りました」
「やっと到着? ふわわ~、よく寝た~」
お供の者に起こされて顔を上げると、いつの間にか目の前に迫った大きな丸い月に向かって
並木灯篭がまっすぐに伸びています。
どうやらこのまま月の都まで続いているようです。
「いよいよ、月の都に行けるんだね! どんなところかな? ワクワク~!」
「『かぐや姫』か~。よーし、今日はこのおはなしの中に遊びにいっちゃお!」
絵本の中に飛び込んだココアがはじめに降り立ったのは、薄暗い夜の竹林。
林の奥からは、まばゆい光が漏れています。
「わわ! もしかして、かぐや姫誕生の場面!?」
それからココアは、かぐや姫の成長をこっそり見守りながら、本の中の世界を満喫しました。
借り物の着物で都を散策したり、帝の住まいをのぞきに行ったり。
普段の生活とはかけ離れた文化の数々に、興味津々です。
やがて、物語はクライマックスへ。
使者とともに、故郷の月へと帰っていくかぐや姫。
その行列の一番うしろに控えていたお供の者をつかまえて、ココアは懇願します。
「ね、ちょっとあなた! あたしも月に連れてってくれない?」
困惑するお供の者をなだめすかして、月の舟に乗り込んだココア。
月への道程は思いのほか長く、うっかり口をつけたお酒に酔っぱらって爆睡してしまいました。
「お嬢さま、ご覧ください。月の都が見えて参りました」
「やっと到着? ふわわ~、よく寝た~」
お供の者に起こされて顔を上げると、いつの間にか目の前に迫った大きな丸い月に向かって
並木灯篭がまっすぐに伸びています。
どうやらこのまま月の都まで続いているようです。
「いよいよ、月の都に行けるんだね! どんなところかな? ワクワク~!」
FIN
鏡の中からSOS! [ちいさなおはなし]
* * *
その日、アンゼリカは衣装部屋の整理をしていました。
「この仮面はいつ使ったやつだったかな? 薔薇の羽根付き帽子も、だいぶ傷んできてるな。帽子屋に修理に出しておかないと……」
状況によって、いつ何時、どんな変装をすることになるか分かりません。
定期的な衣装のチェックは、怪盗の大切な仕事のひとつでした。
(アンゼちゃん! アンゼちゃん!)
その時でした。どこからか、呼ばれた気がしてアンゼリカは顔を上げました。
しかし、しめきりの室内には自分以外に誰の姿もありません。
「……?」
訝しみながら、何気なく道具箱の手鏡を持ち上げたアンゼリカは、そこに大映しになったココアの顔に、思わずそのまま宙に放り投げてしまいました。
(やっと気付いてくれた! アンゼちゃん~!)
「そんなとこから、どうしたんだ、ココア……」
気を取り直して手鏡を拾い上げると、鏡の中のココアが切羽詰まった調子で訴えてきます。
(助けて、アンゼちゃん。今、チェス対決の真っ最中なんだけど、あたし、ルールがよく分かんなくって。もう負けそうなの~!)
ココアが後ろに引くと、背後に巨大なチェス盤と駒が見えました。
駒にはそれぞれ意志があり、自分の力で動いているようです。
駒のひとつとなったココアは、白が負けてしまった場合、このままチェス盤に囚われ、鏡の世界から出られなくなってしまうのでした。
「よし、なるべく鏡にチェス盤の全体が映るようにするんだ。わたしが指示を出すから、ココアは、その通りに動くように駒に伝えて」
(うん、分かった!)
アンゼリカは、部屋のチェス盤を手元に引き寄せると、鏡の中の状況と同じように駒を並べました。そうして、ココアの報告を聞きながら、勝負(ゲーム)を進めていきます。
「相手の指揮官もなかなかやるな……」
(アンゼちゃん、大丈夫?)
「心配するな。わたしは強いからね」
手に汗握る攻防が続いた末に、ついに「(チェックメイト!)」
ココアとアンゼリカの声が重なって、同時に鏡の中からまばゆい光が放たれました。
光が収まると同時にどすん! 階下から大きな地響きが。
ばたばたと階段を昇ってくる靴音が近づいてきて、ばん!
勢い良く扉がひらき、元気いっぱいのココアが飛び込んできました。
「ただいま、アンゼちゃん! ね、今度あたしにもチェスを教えてっ!」
将来のチェスの相手が見つかったかもしれない(?)アンゼリカでした。
FIN
コーラの海で泳ぎたい [ちいさなおはなし]
連日の暑さにぐったり気味のブランシュ。
「あー頭が沸騰するー。しかし、コーラという飲み物は本っ当に素晴らしいな
(ぐびぐび)
コーラの海に沈められるなら本望・・・・・・」
どっぼーん
「ぶわっ!?」
急に体が浮き上がる感覚があって、次の瞬間、ブランシュは赤黒い水の中にダイブしていました。
必死に息継ぎをしながら両手両足を動かします。
口の中にどっと水が流れ込んできて、思わずごっくん。飲み込んでしまいました。
「? なんか甘い・・・・・・? (ごくごく) って、コーラじゃねーかー!!」
周囲は透明な壁に囲まれており、向こう側にブランシュが今まで立っていたひまわり畑と夏の青空が見えています。
どうやら、ペットボトルのコーラの中に吸い込まれてしまったようです。
気泡が立ちのぼってくる容器の底の方に目をやると、建物の屋根のようなものが見えました。
好奇心に駆られたブランシュは、確かめに行くことに。
一度水面に出たあと、思いきり息を吸い込んで、勢いよくコーラの海に飛び込みます。
近づいていくと、それは小さな潜水艇でした。
入り口のふたを持ち上げて中に入ると、ようやく息をすることができます。
操縦の仕方などさっぱり分かりませんでしたが、ゲーム機を操作する要領で適当にボタンを押してレバーを引くと、潜水艇はゆっくりと動き出しました。
いつの間にか、周囲の壁は消え去っていました。
ブランシュを乗せた潜水艇は、先の見えない赤茶色の海をスクリューの立てる泡をまき散らしながらどこまでも進んでいきました・・・・・・。
一日DJ体験 [ちいさなおはなし]
摩天楼を望むちいさな島の放送局で、一日DJのお仕事を引き受けたココアです。
「一度、こういうのやってみたかったんだ♪ わーっ、これがマイク? 本格的~!」
ココアさん、ココアさん。もう放送、始まってますよ。
「え~っ、ほんと? うーうー、コホン! では、本日の一曲目に参りましょう!
あたしがだーいすきな、マシュマロムースちゃんの新曲で、『恋はホイップクリーム』♪
どうぞ~!」
~その頃、塔の家では~
♩♪♫♬~
ブランシュ 「おー! ホントに始まった~!」
ファッジ「ラジオからきこえてくるの・・・・・・ココアちゃんの、こえ・・・・・・?」
モカ 「ココアさん、おかしなことを口走らないでしょうか・・・・・・(ハラハラ)」
アンゼリカ 「あんたは心配しすぎ。もっとドーンと構えてなって!」
【ラジオの声:はい、ではここで、直撃生電話のコーナー!】
一同「・・・・・・まさか・・・・・・」
ジリリリリ~(鳴り出す電話)
一同 「やっぱりかー!」
ガレット 「・・・・・・はい」
【ココア:ふわっ!? ガレットちゃん!?(←想定外だったらしい)】
ガレット 「用がないなら切るわよ」
【ココア:待って待って待って!(汗)】
その後・・・・・・
ココアの絵本読み聞かせコーナーや、モカによる「執事の心得」、
エスカとロゼットのお料理教室に、アンゼリカ先生のお悩み相談などなど。
塔の家の面々を思いっきり巻き込んで、ラジオ放送は続きました。
【ココア:今日は一日、お付き合いありがとうございました~! じゃあね~!】
♩♪♫♬~
アンゼリカ 「・・・・・・なんか、どっと疲れが・・・・・・」
ブランシュ 「おれ、もう寝るわ・・・・・・」
モカ 「もう、声がガラガラです・・・・・・」
一体、どんな年齢層のリスナーが聴いてくれたのやら。
ココアにとっては、とっても楽しい夏の思い出になったようです。
美白の代償 [ちいさなおはなし]
「煮~え~た~かな~♪」
イチョウの木の下で、ぐつぐつ、鍋を煮込み中のブランシュ。
「ん? なんだか、後ろから視線を感じるような・・・・・・」
イチョウの木の下で、ぐつぐつ、鍋を煮込み中のブランシュ。
「ん? なんだか、後ろから視線を感じるような・・・・・・」
「どわぁっ! びっくりしたぁっ!」
物陰から現れたのは、美白のし過ぎで背景に溶け込んでしまっていたクンパでした。
物陰から現れたのは、美白のし過ぎで背景に溶け込んでしまっていたクンパでした。
「白背景だと、誰もぼくに気づいてくれなくって・・・・・・」
クンパは、フラフラとその場に倒れ込んでしまいました。
どうやら、家出した先々で存在に気づいてもらえず、餓死寸前にまで追い詰められていたようです。
「待ってろ! 今、鍋が煮えるからなっ」
みそ鍋とおにぎりでお腹がいっぱいになったクンパは、元気に自分の島へ帰っていきました。
もちろん、自分の島は夜背景なので、飼い主さんに見失われることはないそうです。
~おしまい~
クンパは、フラフラとその場に倒れ込んでしまいました。
どうやら、家出した先々で存在に気づいてもらえず、餓死寸前にまで追い詰められていたようです。
「待ってろ! 今、鍋が煮えるからなっ」
みそ鍋とおにぎりでお腹がいっぱいになったクンパは、元気に自分の島へ帰っていきました。
もちろん、自分の島は夜背景なので、飼い主さんに見失われることはないそうです。
~おしまい~
この前、ブランシュの島に来た家出さんがあまりにも白かったので、お話をつくってみました。
ちょうど鍋のアイテムを設置したところだったので、美味しいにおいに惹かれてやってきたのかもしれないですね。
なんだかバタバタしていて、こちらの更新が滞ってました。
本格的にフィギュアスケートのシーズンが始まりまして、そちらに思いっきりかまけております~。
先週のNHK杯でとりあえず一段落したので浮上。
しかしまた来週あるのですけれどね!
さてさて、「星の降る町」第5話、アップしております。
ようやくブランシュが危機から脱しました。
前にツイッターではつぶやいていたのですが、このお話を書く前に、職場の駐車場でスケボー少年に出くわしまして。
こ、これはブランシュの描写の参考になる・・・・・・!! と目を皿のようにして見学させていただきました。
・・・・・・すみません、変な職員で。
おかげで、今回のシーンに役立ちましたv
早いものでもう12月ですね・・・・・・!
今月はクリスマスイベントのためにココアがG.L.L入りしております。
くつ下楽しみだな~♪
うちの前の通りがイチョウ並木で、通勤の度にブランの島っぽいな~、木の根元で跳ねてたりして~、などと妄想していたのですが。
この間の雪でみごとに散りまして。今やすっかり裸木に。
ブランの島もそろそろ模様替えしてやらなきゃねえ・・・・・・と思うこの頃なのでした。