空の灯台(+後日談) [塔の家物語]
* * *
今回はココアとムースの出会い編です。
ずっと頭の中にあったお話を形にできました。
ムースはホオベニとして生まれたこともあり、羽根や空、といったものをイメージしていました。
それから歌姫設定が加わり、なんやかんや妄想を広げているうちに、結構重たい(?)過去を背負い込むことに。
ムース⇒ココアへの依存度はかなり高いです。
巣から落下した雛を拾って育て始めたみたいな出会いなので、致し方ないかと。
今はすっかり記憶をなくして、ぼ~っとしている感じのムースですが、これからだんだん、記憶を取り戻していきます。
昔ちょっと書きかけてそのままになってる、「歌まつり」のエピソードとかがここに繋がってくるんですよね・・・・・・。誰も覚えていないと思いますが。
ムースの話も、「塔の家物語」の中では重要なパートになると思うので、順を追って書いていきたいです。
あ、この前まで書いてた「星の降る町」のムースは覚醒済みです。
話が前後しちゃってて申し訳ない・・・・・・のですが、書けるところから書くというスタイルのため、こういうややこしいことになっております(汗)
シリーズ名付けなきゃかなぁ・・・・・・。うーん思いつかない。
しかし、ムース関連は飼い主思いっきり趣味に走ってますね・・・・・・。
すみませんジブリの冒険ものではラピュタ一押しなんです。
久しぶりのイラスト~!
羽根と花びらはpixivのフリー素材をお借りしました。
おかげで絵が完成しました・・・・・・。ありがとうございました!
さてさて、空から落っこちてきたムースはその後どうなったか・・・・・・。
つらつら考えていたら後日談ができたので、続きから載せておきます。
「空の灯台」では便宜上呼んじゃってますが、実は××(伏せ字)じゃなかったんですねー・・・・・・。
「空の灯台 ~その後のお話~」
ココアはモカを呼んできて、女の子を2階の自室まで運んでもらいました。
「この子、絶対、天使さまだと思うんだ。モカも、そう思わない?」
「はいはい、そうかもしれませんね。では厨房で、何か作ってもらえるように頼んできます」
ココアの訴えを軽くいなし、モカは階下に降りていきます。
残されたココアは、ぷうっ、と頬を膨らませました。
「あの言い方、絶対ホンキにしてない。もう、どうすれば信じてもらえるのかなあ」
ベッドに横たわった女の子は、依然として眠り続けています。
シーツに広がった淡紫色の髪は、朝露を受けたばかりの瑞々しいすみれの花のように内側から光を放っていて、ココアは思わずほうっと見惚れてしまいました。
*
目覚めてすぐ、視界に飛び込んできたのは、パステルカラーのお菓子の山でした。
三段重ねのデコレーションケーキにさくらんぼの載ったムース。
山盛りのチョコレートがけドーナツに、花びらを散らしたようなタルトレット。
「あ、気がついた? お腹、空いたかなと思って、いろいろ用意してみたんだけど、どれ食べる?」
目がくりっとした巻き髪の少女が、高い位置で結わえたポニーテールを揺らしてベッドサイドからこちらをのぞき込んできます。
頭が働かないまま、のろのろと身を起こし、一番間近にあったガラスの皿を手に取りました。
それを見た少女は、なにやらものすごく嬉しそうな顔になって、タルトの皿をいそいそと引き寄せます。
「いっただっきまーす!」
どうやらお預けを食らっていたらしい少女は、頬をピンク色に染めながら、それはそれは美味しそうに花びらのタルトを頬張りました。
「・・・・・・・・・・・・」
その平和そうな顔を眺めているうちに、頭のもやが少しずつ晴れてきます。手元に目を落とし、添えられていたスプーンを手に取りました。弾力のある冷たい塊が、からっぽの胃の中にすとんと着地して、失われていた感覚が徐々に蘇ってきます。
「あたし、ココアって言うの。あなたのお名前は?」
当たり前に答えようとして、思考が停止します。
「もしかして、覚えてないの?」
名前どころか、自分が何者で、どういうわけでここにいるか、ということが、まるでわかりませんでした。
ココアは、こちらの表情で、何かを悟ったようです。
のんきそうな外見の割に、その辺りの察しは良い様子。
「うーん・・・・・・。そうだなあ・・・・・・」
部屋の中をきょろきょろと見渡しながら、何やら考え込んでいましたが、こちらの手元に目をとめるなり、ぱっと顔を輝かせました。
「よおし、決めたっ! あなたの名前は“ムース”ちゃん! これからはムースちゃんって呼ぶね!」
どうやら、食べかけの葡萄のムースと髪色が似ているから、という発想のようです。
「・・・・・・・・・・・・」
なかなか安易なネーミングでしたが、本人は満足げ。
そこにコンコン。部屋の扉がノックされ、赤毛の少年が顔を出しました。
「ああ、お気づきになられたんですね。今、町に使いを出して、お医者さんを呼んでいます」
「ねえモカ、この子ムースちゃんっていうんだよ! あたし、お友達になったの!」
「そうですか。ココアさん、あまりあれこれと話しかけて、疲れさせてはいけませんよ」
「はーい」
もはや決定事項のように進んでいく話に、黙ってガラス皿の残りを口に運びます。
その時、窓の外で、甲高い小鳥のさえずりが響きました。
「何だろ? ・・・・・・わっ!」
ココアが窓を開けた途端、一羽の小鳥が、勢いよく中に飛び込んできました。
一直線にこちらに向かってくると、肩の上で羽根を畳み、慕わしげに身を寄せます。
「ムースちゃんの、お知り合い?」
頬に触れるふわふわとした感触が懐かしくて、ムースは瞳を閉じました。
FIN
(おまけ)
飛行船からムースについてきた相棒の鳥さん。
お名前はこれから考えます。
お名前はこれから考えます。
相棒の鳥さん 青い色ですね
幸せの青い鳥さんですね§^。^§
by 雪渦 (2017-03-27 12:39)
こんにちは。
咄嗟に「親方!空から女の子が!」のボイスが脳内再生されましたが、
ムースちゃん凄く綺麗ですね。なんと美しいお顔!確かに天使さまです。
ほんのり甘いムースがよく似合う。
ガーリーな部屋も、この二人にぴったりですね。
お菓子をいっぱい用意して、自分も食べているココアちゃん可愛い。
by 架羽しう (2017-03-27 20:11)
>雪渦さん
檻の中で拘束されていたときに迷い込んできた鳥さんです。
心の支えになってくれて、逃亡を助けてくれて
ムースにとってはまさに幸福の青い鳥だと思います*^^*
by オムレット (2017-03-30 17:19)
>架羽しうさん
あのシーン、ほんとに印象的で大好きです。
この場合、パズー役はココアなんですよね・・・・・・。
あんな風に受け止めるのは絶対無理・・・・・・なので、
今回は、羽根のおかげでふんわり着地だったので良かったです^^
ムースは、透明感のある儚げな印象の女の子というイメージです。
透明感・・・・・・透明感・・・・・・と念じながら描いてました。
綺麗と言っていただけて、うれしいです!
ココアはどれだけ食いしん坊なの・・・・・・という感じですが
たぶんお菓子は途中でモカに没収されたと推測w
by オムレット (2017-03-30 17:33)